JR往復乗車券の販売終了、ICカード普及が背景に
2026年3月をもって、JRグループ6社は「往復乗車券」と「連続乗車券」の販売を終了すると発表しました。このニュースは多くの鉄道ファンや利用者に衝撃を与えましたが、その背景には交通系ICカードやネット予約サービスの普及という大きな時代の流れがあります。
ICカード普及が変えた鉄道利用の形
交通系ICカードの登場から約20年、私たちの移動は確実に便利になりました。SuicaやICOCAといったICカードは、改札でのタッチだけで利用でき、紙の切符を買う手間を省きました。この利便性が広がる中、紙の乗車券、とりわけ往復乗車券や連続乗車券の需要が減少してきたのは自然な流れと言えます。
また、ICカードだけでなく、スマートフォンアプリを使ったネット予約も普及しています。JR東日本の「えきねっと」やJR西日本の「e5489」など、アプリでのチケットレス乗車が主流になりつつあります。
往復乗車券の意義と終焉
往復乗車券は、片道601キロ以上の距離を往復する際に運賃が1割引になるという魅力がありました。しかし、ICカードやネット予約で同様の割引サービスが提供されている現在、往復乗車券の役割は縮小しています。加えて、旅程が複雑な場合には「連続乗車券」が活用されてきましたが、これも柔軟性のあるICカード利用が台頭しているため、終了に至ったと見られます。
懐かしさと未来への期待
往復乗車券や連続乗車券には、多くの利用者が思い出を持っています。青春18きっぷと並んで鉄道旅行を支えたこれらの切符がなくなることに、寂しさを覚える人も少なくないでしょう。一方で、デジタル化が進む鉄道サービスは、さらなる利便性を私たちに提供してくれるはずです。
ICカード普及がもたらす鉄道の未来
ICカードの普及によって、乗車券販売のコストが削減され、鉄道事業者の効率化が進むことが期待されます。また、ICカードが可能にするデータ活用によって、個々の利用者に応じたサービス提供やダイナミックプライシング(需要に応じた価格設定)も実現していくでしょう。
まとめ
紙の乗車券が減少していく中、ICカードやネット予約という新たな手段が私たちの旅を支えています。今回の往復乗車券終了は、鉄道のデジタル化における重要なターニングポイントとなるでしょう。便利になっていく一方で、昔ながらの切符を懐かしむ気持ちを大切にしながら、新しい鉄道利用の形を楽しみたいものです。