えっ、こんな場所でもSuicaが!? JR東日本が描く「地域連携ICカード」の大構想とは?
「地方に行ったらSuicaが使えて驚いた」――そんな経験をした人もいるのではないでしょうか。
実際、鉄道ジャーナリスト枝久保達也氏が東洋経済オンラインに寄稿した記事「えっ、こんな場所でもSuicaが!? JR東日本が描く『地域連携ICカード』の大構想とは?」でも、その広がりが紹介されています。

今回はその記事を参考に、ICカードの最新動向とSuicaの将来像について整理してみます。
交通系ICカードの普及と課題
ICカードの歴史は2001年の「Suica」登場から始まりました。
その後、ICOCAやPASMO、manacaなどが相次いで導入され、2013年には全国10種類の交通系ICカードが相互利用を開始。今では日本の移動に欠かせないインフラとなりました。
しかし一方で、琴平電気鉄道の「IruCa」や福島交通の「NORUCA」、岡山電気軌道の「Hareca」など、地域独自のICカードも多数存在。これらは地域ニーズに対応する一方で、全国共通利用ができないという課題を抱えていました。
JR東日本の答えは「地域連携ICカード」
こうした課題を解決するためにJR東日本が打ち出したのが「地域連携ICカード」です。
- Suicaのシステムを利用しつつ、地域独自サービスを同時に提供できる
- ICカードは「2in1構造」となり、Suica機能+地域独自機能を1枚に集約
- 地域事業者は高額なサーバーを自前で持たずに導入可能
これにより「地域のサービス」と「全国で使える交通系ICカード機能」を両立することが可能になりました。
すでに「totra」「AOPASS」「AkiCA」「KURURU」など15種類が導入され、今後も拡大予定です。
2027年にはエリアをまたいだ利用も可能に
さらに注目すべきは、2027年春からSuicaがエリアをまたいで使えるようになる点です。
これまでは首都圏、新潟、仙台、盛岡、青森、秋田の6つのエリアに分かれており、相互利用はできませんでした。しかし、サーバー方式への移行によって、上野から仙台といった長距離でも1枚のSuicaで完結する未来が近づいています。
交通系ICカードの利便性を飛躍的に高める大きな一歩と言えるでしょう。
地域連携ICカードの未来
JR東日本は「Suica Renaissance(スイカルネッサンス)」を掲げ、将来的にはスマホアプリ「ご当地Suica(仮称)」の展開も視野に入れています。
地域サービスやマイナンバーカードとの連携も構想されており、ICカードを超えたデジタル基盤になる可能性があります。
担当者が語った「交通の世界では『出し抜き屋』ではなく『つながり屋』でなければならない」という言葉通り、ICカードの進化はインバウンド観光や地域活性化に直結する取り組みになるでしょう。
まとめ
- ICカードは都市部から地方へ拡大中
- 「地域連携ICカード」で独自サービスと全国利用を両立
- 2027年にはエリアを超えたSuica利用がスタート
- 将来的にはスマホアプリ化し、社会基盤として進化
交通系ICカードは、移動の利便性を高めるだけでなく、地域と都市をつなぐインフラへと進化しています。
📖 参考記事
本記事は、鉄道ジャーナリスト枝久保達也氏による「えっ、こんな場所でもSuicaが!? JR東日本が描く『地域連携ICカード』の大構想とは?」(東洋経済オンライン掲載)を参考に構成しました。