RFID導入で書店の万引きが激減!DX化がもたらすリアルな成果

出版業界が抱える課題のひとつに、「万引きによる損失」があります。書店では年間数百冊〜数千冊が盗まれ、経営を圧迫する要因となっていました。
しかし今、その流れを大きく変えるテクノロジーが登場しています。それが RFID(無線自動識別)タグ の導入です。
万引き被害、約1400冊→66冊に!
経済産業省 文化創造産業課長の佐伯徳彦氏によると、ある書店でRFIDによる実証実験を行ったところ、年間の万引き冊数が約1400冊からわずか66冊にまで減少したといいます。
これは、書店の入り口にRFID対応ゲートを設置し、購入手続きが済んでいない本を検知すると警告音が鳴る仕組みを導入したことによる成果です。
このように目に見える形で万引きを抑止できることは、現場にとって非常に大きなメリットです。
書店経営にとって「万引き=致命傷」
書店が1冊の本を販売して得られる利益は、定価の約22%前後にすぎません。つまり、1冊盗まれてしまった場合、その損失を取り返すには5冊以上を追加で売る必要があるということになります。
RFIDは、こうした「薄利」のビジネス構造の中で、少しでも損失を減らすための現実的なソリューションなのです。
DX化と補助金制度で導入を後押し
経産省は、書店のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、RFIDシステムの導入に対する補助金制度も検討しています。
RFIDタグの貼付、ゲートの設置、システム一式の導入には一定のコストがかかりますが、それ以上に万引き抑止と業務効率化による経営改善効果が期待できるのです。
「本を守る」ためのテクノロジー
書店は単なる「物販店」ではなく、地域の文化と知の拠点でもあります。その未来を守るために、テクノロジーの力を借りる——RFIDの活用は、そうした試みの象徴ともいえるでしょう。
出版業界の構造改革とともに、**「盗まれない店づくり」**が、現場から始まっています。