Tag-it Plusカードとは?特長・活用事例・他のICカードとの違いを解説

1. Tag-it Plusカードとは?基本情報と技術的特長

Tag-it Plusカードは、テキサス・インスツルメンツ(TI)が開発したISO/IEC 15693規格に準拠した高周波(HF)帯の非接触ICカードです。
このカードは長距離通信が可能な点が大きな特長であり、物流・倉庫管理、医療機関、企業の入退室管理など幅広い用途で利用されています。

Tag-it Plusカードの主な特長
  • ISO/IEC 15693準拠:近接型(proximity)ではなく、近傍型(vicinity)として設計されており、最大1メートルの通信距離を持つ。
  • 13.56MHz帯のRFID技術を採用し、低消費電力ながらも高い読み取り性能を発揮。
  • 256バイトのユーザーメモリを搭載し、各ブロックごとにロックが可能。
  • 耐久性・安定性が高いため、長期使用に適している。

2. Tag-it Plusカードの進化と他のTag-itシリーズとの違い

Tag-itシリーズには、Tag-it HFカードなどの前世代モデルが存在しますが、Tag-it Plusカードは読み取り性能の向上やメモリ容量の強化がされています。
ISO/IEC 15693規格に準拠することで、より多くのICリーダーと互換性を持ち、国際規格に対応したシステム構築が可能になりました。

Tag-it HFカードとの比較

項目Tag-it HFカードTag-it Plusカード
規格ISO/IEC 15693ISO/IEC 15693
通信距離約50cm約1m
メモリ容量128バイト256バイト
ロック機能なしあり(ブロック単位)
セキュリティ基本機能のみ改良されたロック機能

Tag-it Plusカードは、長距離通信が求められる業務環境において、高いパフォーマンスを発揮する進化したICカードと言えます。

3. Tag-it Plusカードの活用事例

Tag-it Plusカードは、その特長を活かし、様々な業界での業務効率化に貢献しています。

物流・倉庫管理
  • 商品の在庫管理:商品にTag-it Plusカードを取り付けることで、一括スキャンや遠隔読み取りが可能。
  • 輸送履歴管理:入出荷時にデータを記録し、リアルタイムの物流管理を実現。
図書館・アーカイブ管理
  • 蔵書の追跡:Tag-it Plusカードを書籍の管理タグとして使用し、紛失防止や棚卸し作業の効率化。
  • 貸出・返却の自動化:ICリーダーと組み合わせ、図書館の無人貸出システムに活用。
医療機関
  • 患者情報の管理:Tag-it Plusカードを診察券や電子カルテと連携させ、誤認防止や医療ミスの削減。
  • 医療機器の管理:機器の使用履歴やメンテナンス記録をデータ化し、院内の資産管理を強化。
企業の入退室管理
  • 従業員のセキュリティ管理:Tag-it Plusカードを入退室ICカードとして利用し、セキュリティ強化。
  • 時間管理との連携勤怠管理システムと統合することで、従業員の出勤・退勤を自動記録し、業務効率を向上させます。

4. Tag-it Plusカードと他のICカードとの違い

Tag-it Plusカードは、NFCカード(MIFAREやFeliCa)やUHF帯のRFIDカードと比較すると、通信距離や用途に違いがあります。

Tag-it Plusカード vs 他のICカード
項目Tag-it PlusカードMIFARE(Classic)FeliCaUHF帯RFID
規格ISO/IEC 15693ISO/IEC 14443ISO/IEC 18092ISO/IEC 18000-6C
通信距離最大1m数cm数cm数m~10m以上
速度中速高速高速低速~中速
セキュリティ標準的高い高い低め(読み取りやすい)
主な用途物流、入退室管理、医療、図書館交通系カード、電子マネー交通系カード、社員証物流、資産管理
用途別おすすめカード
  • 短距離・高速処理が必要な場合:MIFAREやFeliCaが適しており、交通系ICカードや電子マネーに多く採用されています。
  • 中距離・汎用性の高いカードを探している場合:Tag-it Plusカードが最適で、物流や入退室管理での活用に適しています。
  • 長距離・広範囲の管理をしたい場合:UHF帯RFIDが向いており、大規模な倉庫管理などに適しています。

5. Tag-it Plusカードの未来展望

ICカード市場は、RFIDやNFC技術の進化とともに発展しており、Tag-it Plusカードも新たな用途が期待されています。

最新の技術トレンド
  • クラウド連携:Tag-it Plusカードのデータをクラウド上で管理し、リアルタイムな情報共有を実現。
  • AIとの統合:ICカードを活用したAI分析により、物流や店舗での最適な商品配置や需要予測が可能に。
  • モバイル対応:スマートフォンのNFC機能を活用し、アプリでのTag-it Plusカード読み取りが拡大。
今後の市場動向
  • 産業用途の拡大:特にスマートファクトリーやIoTシステムとの統合が進むと予想されます。
  • 環境配慮型ICカードの開発:再生プラスチック素材を活用したTag-it Plusカードの導入が進む可能性も。

6. まとめ

Tag-it Plusカードは、ISO/IEC 15693規格準拠の長距離通信型ICカードであり、物流・医療・入退室管理など幅広い分野で活用されています。
今後、クラウド連携やAI活用が進むことで、よりスマートなICカード管理が求められる時代になります。Tag-it Plusカードの進化と市場動向を注視しながら、最適なICカードソリューションを選択していくことが重要です。