FeliCa規格のSuica・ICOCAをやめる理由:交通系ICカード撤退の波が広がる?

はじめに 熊本県の鉄道・バス会社5社が、交通系ICカード「Suica」「ICOCA」の利用をやめると発表しました。このニュースは多くの人に驚きを与えています。全国で2億枚以上が発行されているFeliCa規格のカードですが、この決定がどんな影響を与えるのか見ていきましょう。

交通系ICカードの現状 JR東日本が発行する「Suica」をはじめ、全国で使える交通系ICカードは全部で10種類あり、2億枚以上が発行されています。これにより、切符を買わずに全国の交通機関を簡単に利用できる便利さが、多くの人に支持されています。

熊本県の鉄道・バス5社の決断 しかし、熊本県の鉄道・バス会社5社は、早ければ2024年内に交通系ICカードの利用を終了することを発表しました。この決定には、いくつかの理由があります。

  1. 高い機器更新費用 現在使っている交通系ICカード対応の機械が古くなっており、新しい機械に更新するためには12.1億円かかります。しかし、他の新しい機械に変更すれば6.7億円で済むという経済的な理由があります。
  2. 国の補助金方針 国土交通省の方針では、新しいキャッシュレス機器を導入する際には補助金が出ますが、維持費用には補助金が出ません。交通系ICカードを使い続けると高い維持費がかかるため、非対応にすればコストが下がり、補助金も期待できるのです。
  3. タッチ決済の普及 世界では、クレジットカードをかざすだけで支払いができる「タッチ決済」が普及しています。熊本でも、空港行きのバスがタッチ決済に対応しています。交通系ICカードは日本独自の規格であり、海外で広く使われている規格に比べて普及が遅れています。

地方の鉄道・バス会社の苦労 熊本県だけでなく、地方の鉄道・バス会社は交通系ICカードの維持に苦労しています。例えば、広島県の「PASPY」や沖縄県の「OKICA」も導入後のコストや機器の老朽化問題に直面しています。地方の交通機関は経営が厳しく、キャッシュレス対応によって乗客が大幅に増えるわけでもありません。これが、地方の交通機関が交通系ICカードから撤退する理由となっています。

国の支援と今後の展望 熊本市の大西一史市長は、交通系ICカードの維持を断念する自治体が今後も増える可能性があると指摘しています。国土交通省は、交通のキャッシュレス化を支援するために具体的な対策を講じる必要があります。利用者が多い場合は機器更新に補助金を出すことや、タッチ決済やQRコード決済への早期移行を支援することが求められます。

まとめ 熊本県の鉄道・バス会社5社が交通系ICカード「Suica」「ICOCA」から撤退する決定は、経済的な理由や国の補助金方針、タッチ決済の普及など、さまざまな要因が絡み合った結果です。今後、同じような事例が他の地方でも発生する可能性があります。国や自治体は、交通のキャッシュレス化を持続可能に進めるために、具体的な支援策を考える必要があります。